珈琲の旅人からの手紙 その5

熱帯の庭園 アグロフォレストリーの森の営み
〜トセパン・ティタタニスケ協同組合の持続可能な取り組み〜

 こんにちは。コーヒーの世界の旅人です。
きょうは、新商品、トセパンコーヒーの故郷についてお伝えしますね。

 「トセパンコーヒー」を作っている「トセパン・ティタタニスケ協同組合(以下、トセパン)」は、メキシコのプエブラ州にあり、今から約28年前に設立されました。組合員は皆、ナワット族という先住民で、小規模農家、約5000世帯が参加しています。組合名「トセパン」は、「つながり合うこと。それが、皆が幸せになる道」という意味込められているとのこと。そこには分かち合いを大切にするナワット族の文化が息づいているのですね。

 ここでは、作物は化学肥料や農薬を使わず、持続可能なアグロフォレストリー(森林農業)で育まれます。その代表的な作物が、皆さんにお届けするトセパンコーヒーです。

 アグロフォレストリーの森では多様な動植物が共存し、コーヒー以外にも、さまざまなフルーツ、ナッツが生産されて、自給用として、あるいは地域や海外の市場に届けられています。ハチミツも収穫できますが、蜂はコーヒー樹が実をつけるための受粉にも役立ってくれています。

 ナワット族の人々は豊かな恵みを授けてくれるこの森を、「家族の営みを守る森」と表現していますが、ここから生まれてくる作物を消費する人々にとっても大切な森だと言えますね。

 この森を守るために、トセパンでは、持続的な循環を守るための様々な試みが行われています。コーヒーの果肉は除去された後、川に捨てられ、汚染源になってしまうケースがありましたが、トセパンではコーヒーの果肉や外皮を資源として活かし、キノコ、有機肥料、アルコール、そして油などを生産しているのです。特に力を入れているのが苗床作りで、トセパンでは一年間で百万本の苗木を栽培します。この苗木により、コーヒー樹は新しくなり、同時に様々な種類の苗木を森に植えていくことで、アグロフォレストリーの森の多様性は豊かになっていくのです。

 そして、もう一つ。トセパンの特色のあるプロジェクトとして挙げられるのが、環境教育です。

 約150種の植物が栽培され、200種類にも及ぶ鳥類が生息するアグロフォレストリーの森は、生物の多様性を間近で体験し実感できる場所。そこはまさに環境教育を行う絶好の機会を与えてくれます。さまざまな植物の利用方法や、多くの鳥類が棲む環境をより深く理解してもらうために、トセパンでは、コーヒーの森のなかに研修センターを作っています。

 この研修センターには組合員のための宿泊施設があり、プロジェクトを実施するための研修が行われています。こうした環境教育を通じて、先住民のナワット族の文化・知識が継承されていくのですね。

 環境教育と関連して重要なのが、エコツーリズムです。森の多様性とともに、先住民の日々の営みや文化を学ぶトセパンのエコツアーは、その豊かな自然環境だけでなく、文化の多様性を保護する役割も果たしています。また、実際にコーヒーの栽培や加工の様子を消費者が知ることで、フェアトレードに欠かせない生産者と消費者のつながりが生まれます。もっと多くの消費者の皆さんがこのトセパンの地に足を運んでくれるようになれば、コーヒーの本来の意味が広がり、消費者の皆さんの認識や理解も高まり、フェアトレードの取り組みも充実していくことでしょう。