私たちの想い〜ウインドファームのフェアトレード有機コーヒー

ウインドファーム流フェアトレード有機コーヒー メニュー

これまでウィンドファームがやってきたことと「福島原発事故」以後の取り組みについて

今から40年以上も前の1974年、作家の有吉佐和子さんが農薬や食品添加物、合成洗剤など化学物質の問題をテーマにした『複合汚染』という小説を朝日新聞に連載しはじめました。それを読んだ当時19歳の私(ウインドファーム代表の中村)は、農薬や化学肥料に頼らない農業の重要性を知り、有機農業を学び始めました。それから6年後の1980年、山村に移住した私は、農薬と化学肥料を使わずに米と野菜をつくり、鶏を飼いながら有機農業を広める活動に取り組んでいました。ところが、1986年4月、チェルノブイリ原発事故が起こり、8000km離れた日本にも放射能(放射性物質)が風に乗って飛んできて、有機農法の畑や田んぼまで汚染されてしまったのです。そして、お茶やお米からも放射能が検出されました。特に驚いたのは、赤ん坊を抱えたお母さんの母乳からも放射能が検出されたことでした。

そして、もう一つ大きな問題が起こりました。食料輸入大国の日本に原発事故で汚染された食品がたくさん入ってくるようになったのです。 日本政府は、放射能汚染食品の輸入基準値を決めました。1kgあたり370ベクレルです。それ以上に汚染された食品は、輸入しないと決めたのです。

福島の原発事故では、事故当時、ヨウ素が2000ベクレル、セシウムが500ベクレルという基準をもうけました。それ以上に汚染された食品は流通させないことにしました。事故から1年以上経過した2012年4月からは、一般食品500→ 100ベクレル、乳児用食品500→ 50ベクレル、牛乳200→ 50ベクレル、飲料水200→10ベクレルに変更しました。変更前の数値がいかに高いかがよくわかりますし、変更後の数値も高すぎると私たちは考えています。(ドイツ放射線防護協会 は、大人8ベクレル、子ども4ベクレルの基準を推奨しています)

チェルノブイリ原発事故当時、私が務めていた生協では放射能汚染食品の独自基準を設けました。それは、10ベクレルでした。今の日本の基準の10分の1です。この数値は、子どもを持つお母さんたちが相談して決めた数値です。放射性物質は身体に近いほど危険性が高くなり、体内に入ってしまえば、身体に接触して、ずっと内部から細胞を傷つけていきます。そうしたことを学んだ結果が10ベクレルだったのです。


チェルノブイリ事故のあと、たくさんの汚染食品が行き場を失いました。驚いたことに、その汚染食品の一部は「援助物資」として「発展途上国」にまわされました。(この時と同じようなことを福島原発事故後に日本が行っています。原発からの汚染水の流出によって魚の放射能汚染数値が高くなっていますが、外務省は東北の魚の缶詰を「途上国支援」として送っています。)


放射能汚染食品が「途上国」にまわされたと知った私は、途上国の子どもたちが心配になりました。そして、「途上国の子どもたちのために何かできないか」と考え、それまで国内で有機農業を広めてきた経験を途上国で生かすことができないかと考えました。途上国に有機農業を広めたい。有機農業が広まることによって、農薬や化学肥料の問題が多くの人に知られ、食べ物の安全性や環境保護の重要性が広く伝わっていくことが、子どもたちの幸せにつながっていくに違いないと考えたのです。そのキッカケとして、「無農薬栽培のコーヒーを探して、輸入しよう」と南米に出かけて行きました。


初めに訪問した国は、世界最大のコーヒー生産国であるブラジルでした。しかし、ブラジルで無農薬栽培の農園は見つかりませんでした。そこで、「無農薬でつくって下さい」とお願いしましたが、「農薬を使わないとコーヒーはできないよ」と笑われました。中には、「農薬なしにコーヒーができるはずないじゃないか!」と怒り出す人もいました。どこで聞いても同じ反応で、諦めかけたのですが、日本でも有機農業を始めたころは同じような状況だったことを思い出し、探し続けました。

その後、無農薬栽培の生産者は見つかったのですが、日本の有機農業運動で取り組んでいたような「心が通う産直(提携)」ができなかったため、さらに生産者を探し続けました。そして、3回目のブラジル訪問でジャカランダ農場のカルロス・フランコさんと奇跡的に出会い、本格的な提携ができるようになりました。カルロスさんは1980年から無農薬コーヒーの栽培に取り組んでいたのです。

それから5、6年経って、カルロスさんの影響で、農薬も化学肥料も使わない有機栽培の生産者が増えていきました。しかし、大量にできた有機コーヒーをウィンドファームだけで買い支えることはできませんでした。そこで、ブラジル国内にも販路を広げるため、2000年に、ブラジル初のオーガニックカフェ『テーハ・ベルジ』 をクリチバというエコシティで有名な町に開店しました。今、ブラジルにはオーガニックカフェがたくさんできています。

 また、有機コーヒーの重要性を広く伝えるために「国際有機コーヒー会議」を開催したり、有機コーヒーを使ったインスタントコーヒーも商品化しました。そして、2004年には、カルロスさんのジャカランダ農場があるマッシャード市が世界で初めて「オーガニックコーヒー首都宣言」をしました。(カルロスさんと私たちとのフェアトレード物語は『考える絵本 しあわせ』という絵本になっています)

そうしたこともキッカケとなって、ブラジル全土で有機農家が増えていきました。コーヒーだけでなく野菜や果物なども含め、農業全体に有機栽培が増えていったのです。

ウィンドファームのフェアトレードは、その後、エクアドルやメキシコにも広がりました。これらの国には素晴らしい自然があるのですが、その自然がどんどん破壊されています。その理由の一つが、先進国や多国籍企業による鉱山開発です。銅や金を採掘するために森が伐採され、自然が破壊されています。そうした国で、森と共存する「森林農法」を実践しているインタグやトセパンのコーヒー生産者は、森を守るための重要な存在となっています。



チェルノブイリ支援コーヒー

 有機コーヒーと紅茶の売上の一部は、1990年からチェルノブイリ原発事故被害者の医療支援活動に使われるようになりました。私やスタッフが「チェルノブイリ支援運動・九州」(現在の「チェルノブイリ医療支援ネットワークhttp://www.cher9.to/ 」)の運営委員や代表、事務局を務めるようになり、十年ほどは弊社内に事務局を置いていました。そして、薬や医療機器を届けるために、ベラルーシの病院や放射能汚染地を毎年のように訪問してきました。

そこで病気の多さ、子どもが大人より先に亡くなる等の現実を目の当りにしてきた私は、原発を一刻も早く世界からなくしたいと考え、弊社の発行誌「エコロジーの風」にも原発や核燃料再処理工場の問題を書き続けてきました。

しかし、2011年3月、福島で原発事故が起こってしまったのです。

福島原発事故に対する問い合わせが殺到

事故以前から原発の問題について多くの発言をしてきた私たちに対して、アドバイスを求める問い合わせが殺到しました。東北、関東に住む方々からの「○○に住んでいますが、○才の子どもがいます。住み続けていいのでしょうか?」「○人家族ですが、避難したいと思っています。相談に乗ってくれるところはないでしょうか?」「福島県の健康管理アドバイザーは、子どもたちをどんどん外で遊ばせていい、マスクもしないでいいと言っていますが、本当に大丈夫でしょうか?」「福島に住んでいますが、食べ物で気をつけないといけないものは何ですか?水道水は飲んでいいですか?牛乳は?」といった問い合わせが連日のように届きました。

今年になって多くなってきた質問は、「福島では心臓病で亡くなる人が増えていますし、子どもの甲状腺がんが原発事故前の100倍以上に増えていますが、福島県は、放射能のせいではないような発表をしています。本当でしょうか?」「家族で一緒に避難したいのですが、夫や親を説得できません。どうしたらいいでしょうか?」「福島県は、復興、復興とばかり言って、子どもを守ろうとする姿勢がありません。学校給食に地元産の米や野菜を使うことを推奨しています。これを止めさせるにはどうしたらいいでしょうか?」「子どもの食事で注意すべきことは何でしょうか?」といった声が多くなっています。

放射線の影響は、被ばく後すぐに現れず、五感で感じられないために被害が拡大

こうした質問に対して私は、チェルノブイリで見聞きしてきた事実や学んだことを伝えています。放射線の影響は、被曝してすぐに現れることは少なく、目に見えず、臭わず、人間の五感で感じることができないために、被害が拡大したこと。特に私たちが強調していることは、子どもは大人よりも放射線の影響(被害)が大きいということです。

1990年代にベラルーシの多くの病院に薬や医療機器を届けるなかで私は、ある子ども病院から原発事故の前と後とを比較できるデータをもらいました。チェルノブイリの子どもたちにどれほど病気が増えているかを示す重要なデータです。原発事故前年と9年後を比べると、その病院では、急性白血病が2.4倍、ぜんそく2.7倍、糖尿病2.9倍、血液の病気3.0倍、先天性障害5.7倍、ガンが11.7倍、そして、消化器系の病気が20.9倍にも増えていました。

10才は55才の200倍以上、0才は300倍以上放射線の影響を受ける

放射線が年齢別にどのくらい影響を与えるかという有名なジョン・ゴフマン博士の研究があります。55才では49人がガンで亡くなる被ばく線量を浴びたときに、0才の子どもは15170人も亡くなるというのです。55才の309倍です。10才でも10521人が亡くなります。55才の200倍以上です。大人と子どもではこのぐらい放射線被ばくの影響が違うのです。今、子どもたちを放射能(放射性物質)から早く遠ざけないといけないという理由がこれなのです。

外部被ばくと内部被ばく

土壌の汚染や空間線量が高い所からは、なるべく早く避難することが必要です。

ベラルーシ科学アカデミーのミハイル・マリコ博士は、日本人に対して次のように発言しています。「チェルノブイリの防護基準、年間1ミリシーベルトは市民の声で実現されました。核事故の歴史は関係者が事故を小さく見せようと放射線防護を軽視し、悲劇が繰り返された歴史です。チェルノブイリではソ連政府が決め、IAEAとWHOも賛同した緩い防護基準を市民が結束して事故5年後に、平常時の防護基準、年間1ミリシーベルトに見直させました。それでも遅れた分だけ悲劇が深刻になりました。フクシマでも、早急な防護基準の見直しが必要です

そして、もう一つ重要なのが、内部被ばくを避けることです。チェルノブイリ原発事故の被害者を見てきた多くの医師が指摘しているのは、「一番大事なのは、子どもたちに、できるだけ放射能汚染がない食べ物を確保し、内部被ばくを避けることだ」と言っています。

年齢が低いほど影響が大きい中で、一般食品の基準100ベクレルは、子どもたちには高すぎます。そうした高い基準がある中で、福島県の学校給食に地元産の食材使用を県が奨励しているというのは信じがたいことです。また、極力汚染のないものにしなければならない乳児用食品の50ベクレルという設定は、驚くべき高さです。

福島では、すでに様々な病気が増えてきています。通常なら100万人に1〜2人の発生率である子どもの甲状腺がんが、福島県の37万人ほどの子どものうち2012年は1人、2013年は25人、2014年には58人もの甲状腺ガンが見つかっています。通常なら37万人に0〜1人のはずが、58人も見つかっているのは異常事態です。

ベラルーシで原発事故後に急増した病気に心臓病がありますが、福島と周辺の県で心疾患死亡率が急増しています。2011年度の全国平均の心疾患死亡率の増加が3.1%に比べ、茨城10.5%、宮城13.2%、福島は14.4%と急増しており、福島県は、心疾患死亡率が2010年度の全国8位から2011年度は1位になっています。

http://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-13062

また、チェルノブイリと同様に最も急増しているのが、セシウムが蓄積しやすい心臓の病気で、2013年の人口動態統計によれば、急性心筋梗塞の死亡率が全国平均の2.40倍、慢性リウマチ性心疾患の死亡率が全国平均の2.53倍、どちらも全国1位になっています。(これらの数字は、病気の発生率ではなく死亡率です)

*バンダジェフスキー博士(元ゴメリ医科大学学長)は、子どもの体重1kgあたり、セシウム137が10ベクレル(5kgの子どもなら50ベクレル)蓄積するだけで、遺伝子に影響を与え、不整脈を引き起こす可能性があると警告していまます。 (不整脈は、心臓病につながります)

体重5kgの幼児が、セシウム137を毎日0.32ベクレル摂取し続けると体内10ベクレル/kgになります




今、日本の政府は、最優先で守るべき「子どもの命」より「目先の経済」を優先しているため、「チェルノブイリ法」の避難基準であれば、避難しなければならない地域に多くの子どもたちが住み続けて「外部被ばく」を増やし、飲食や呼吸を通して「内部被ばく」を増加させています。

こうした状況のなかで、私たちに何ができるかということを考えてきました。

政府に、原発事故被害者の被ばくをできるだけ増やさないために法律の整備を求める一方で、「チェルノブイリ法」では、避難の権利と補償が与えられる「年間1ミリシーベルト(毎時0.19マイクロシーベルト)以上」の汚染地域に住む子どもたちや妊婦さんには避難するように呼びかけ、避難される方を雇ったり、避難したくても「事情があって、今は避難できない」という方には、一時的にでも子どもたちが汚染地から離れる「保養」のお手伝いをしてきました。

しかし、ウィンドファームという小さな会社ができることは限られています。放射能の影響を受ける地域は広く、長期間続くため「医療支援、被ばく軽減の支援」を拡大するためには、多額の基金が必要です。そのためには「最優先で、放射能から子どもを守ろう!」という心ある企業と市民の連携が必要だと思います。そこで、2015年1月に「放射能から子どもを守る企業と市民のネットワーク」を立ち上げ、その事務局をウィンドファーム内に設置しました。 http://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-9441
皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。

ウィンドファーム代表
中村隆市

私たちの想い 有機栽培 森林農法(=アグロ・フォレストリー) フェアトレード 自社焙煎